接続助詞とは

助詞は、その代表的なものに「てにをは」があり、その機能は、他の語との関係を示したり、語に一定の意味を添えたりします。

接続助詞は、助詞の種類のひとつであり、前の語句を後ろの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係を示す働きがあります。

古文の接続助詞の代表的なものには、「ば・と・とも・ど・ども・が・に・を・て・して・で・つつ・ながら・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」があります。

今回は、接続助詞の「つつ」「ながら」について解説します。

ちなみに、接続助詞の「つつ」「ながら」には『二つの動作の並行』という共通する用法があります。

それでは、まず接続助詞の「つつ」について解説します。

接続助詞「つつ」の意味と用法

接続助詞「つつ」は、完了の助動詞「つ」を二つ重ねたものから生まれたという説があります。

接続助詞「つつ」には、『二つの動作の並行』の他に『動作の反復・継続』の用法(意味を添える働き)があります。

接続助詞「つつ」の接続は、連用形接続です。つまり、終助詞「つつ」が動詞や助動詞の後に続けて用いられる場合、その前に置かれる動詞や助動詞は連用形になります。

接続助詞「つつ」の『二つの動作の並行』用法

『二つの動作の並行』は、同時に行われる二つの動作を結びつける用法です。

現代語訳は「~ながら」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 『二つの動作の並行』用法

⑴ 吾妹子が植ゑし梅の木見るごとにこころむせつつ涙し流る 〔万葉集〕

(現代語訳:(亡くなった)私の妻が植えた梅の木を見るたびに、胸がいっぱいになりながら涙が流れることだ)

接続助詞「つつ」の『動作の反復・継続』用法

『動作の反復・継続』は、動作・作用が繰り返し行われる(反復)こと、動作・作用が引き続いて行われること(継続)を表します。

現代語訳は「~ては」「~し続けて」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 『動作の反復・継続』用法

⑴ 野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり 〔竹取物語〕

(現代語訳:(竹取の翁は)野や山に分け入って竹を切り取っては、いろいろなことに使っていた)

⑵ 女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける 〔伊勢物語〕

(現代語訳:女はこの男を(夫にしよう)と思い続けて、親が(他の人と)結婚させようとするが、聞き入れないでいた)

現代語の接続助詞「つつ」

古語の接続助詞「つつ」は、現代においてもその形や意味が変わることなく使われています。

例えば、「国民の意向も反映させつつ、政治を行うべきだ」と言った場合、『二つの動作の並行』を表します。

次に、接続助詞「ながら」について説明します。

接続助詞「ながら」の意味と用法

接続助詞「ながら」には、『二つの動作の並行』の他に『動作・状態の継続』『逆接確定条件』の用法(意味を添える働き)があります。

接続助詞「ながら」の接続は、連用形接続です。つまり、終助詞「ながら」が動詞や助動詞の後に続けて用いられる場合、その前に置かれる動詞や助動詞は連用形になります。

接続助詞「ながら」の『二つの動作の並行』用法

『二つの動作の並行』は、同時に行われる二つの動作を結びつける用法です。

現代語訳は「~ながら」となります。(古語も現代語訳も同じですね。)

例文で確認してみましょう。

例文 『二つの動作の並行』用法

⑴ 食ひながら文(ふみ)をも読みけり 〔徒然草〕

(現代語訳:(親芋(おやいも)を)食べながら仏典の講読をした)

接続助詞「ながら」の『動作・状態の継続』用法

『動作・状態の継続』は、動作や状態がそのまま変わらないで続くことを表します。

現代語訳は「~のままで」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 『動作・状態の継続』用法

⑴ 源氏の五十余巻、櫃に入りながら…得て帰る心地のうれしさぞいみじきや 〔更級日記〕

(現代語訳:源氏物語の五十余巻を、櫃に入ったままで…手に入れて帰る気持ちのうれしさといったらたいへんなものであるよ)

接続助詞「ながら」の『逆接確定条件』用法

『逆接確定条件』は、自分の目の前にある事実を受けて、その事実から逆接(予期される結果が現れないこと)の話を進める表現です。文章の中で、接続助詞の「ながら」の直前に位置する内容が、事実に相当する部分になり、接続助詞「ながら」の直後に位置する内容が、予想に反する結果を表す部分になります。

現代語訳は「~が」「~けれども」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 『逆接確定条件』用法

⑴ 身はいやしながら、母なむ宮なりける 〔伊勢物語〕

(現代語訳:(男の)身分は低い、母は皇族であった)

⑵ 敵ながらも、義平ほどの者を白昼に河原にて斬(き)らるることこそ遺恨(ゐこん)なれ 〔古活字本平治物語〕

(現代語訳:敵ではあるけれども、義平ほどの者を白昼に河原で処刑なさることは残念なことだ)

現代語の接続助詞「ながら」

古語の接続助詞「ながら」は、現代においてもその形や意味が変わることなく使われています。

例えば、「楽しく語り合いながら、並木道を歩いて行った」と言った場合、『二つの動作の並行』を表します。

「いつもながら元気だね」と言った場合、『動作・状態の継続』を表します。

「若いながら気がきいている」と言った場合、『逆接確定条件』を表します。

まとめ

今回学んだことをまとめます。

接続助詞「つつ」

・接続助詞「つつ」の2つの用法(意味を添える働き)は『二つの動作の並行』『動作の反復・継続』である。

・接続助詞「つつ」は連用形に接続する。

接続助詞「つつ」の用法と現代語訳

・『二つの動作の並行』 現代語訳:~ながら

・『動作の反復・継続』 現代語訳:~ては、~し続けて

接続助詞「ながら」

・接続助詞「ながら」の3つの用法(意味を添える働き)は『二つの動作の並行』『動作・状態の継続』『逆接確定条件』である。

・接続助詞「ながら」は連用形に接続する。

接続助詞「ながら」の用法と現代語訳

・『二つの動作の並行』 現代語訳:~ながら

・『動作・状態の継続』 現代語訳:~のままで

・『逆接確定条件』 現代語訳:~が、~けれども

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