【古典・古文】『比況』の助動詞「ごとし」　訳し方や意味　接続

助動詞とは

助動詞とは、動詞の末尾にくっつける語です。

動詞の末尾に助動詞がくっつくと、動作の状況や状態が変化したり、表現者(話し手や書き手)の気持ちや考えが付け加わります。

助動詞は28個あります。「る・らる・す・さす・しむ・ず・き・けり・つ・ぬ・たり・り・む・むず・けむ・らむ・まし・めり・らし・べし・なり・じ・まじ・まほし・たし・なり・たり・ごとし」です。数が非常に多いです。

助動詞は活用があるため、 助動詞の後に続く他の語との接続に応じて、語形変化を生じます。したがって、文章を読んで理解するためには、助動詞それぞれの活用の仕方を覚える必要があります。

さて、今回は、一般に『比況』の助動詞と分類分けされている助動詞「ごとし」について詳しく説明していきたいと思います。

助動詞「ごとし」の活用と接続

『比況』の助動詞「ごとし」 の活用は、形容詞型で、「(ごとく)・ごとく・ごとし・ごとき・〇・〇」と活用します。「〇」で示した已然形および命令形については活用がありません(この形で使われることがない)。

助動詞「ごとし」の用法は『比況』で、現代語訳は「(まるで)～ようだ」「～ような」となります。

助動詞「ごとし」の接続

助動詞「ごとし」は⑴活用語(動詞、助動詞、形容詞、形容動詞)の連体形、またはそれに助詞の「が」の付いたもの、⑵名詞(体言)に直接接続する、あるいは名詞(体言)に助詞「が」「の」が付いたものに接続します。

つまり、助動詞「ごとし」が⑴活用語の後に続けて用いられる場合、その前に置かれる活用語は連体形または、それに助詞の「が」の付いたもの、⑵名詞(体言)の後に続けて用いられる場合、その前に名詞(体言)が直接置かれるか、名詞(体言)に助詞「が」「の」がついたものが置かれます。

次に、古文の助動詞「ごとし」と現代語とのつながりについて説明します。

古語の助動詞「ごとし」と現代文

古語の助動詞「ごとし」は、現代に至るまでに活用や意味が変化することなく、現代文でも時折使われています。

例文で確認してみましょう。

助動詞「ごとし」は「～のようだ」という意味を持ちます。

ちなみに、「ようだ」は助動詞で、名詞「よう(様)」に断定の助動詞「だ」た付いたものから生じた語で、中世末期以降に使われ始めた語で、古語の助動詞「ごとし」の代わりとして現在は広く使われています。

助動詞「ごとし」と呼応の副詞

助動詞「ごとし」は「呼応の副詞(=下にくる特定の語とセットになって働く副詞)」の下に来て、呼応する語として扱われることがしばしばあります。

副詞「あたかも」と組み合わせた「あたかも～ごとし」で、「まるで～ようだ」という意味を作ります。

副詞「さながら」と組み合わせた「さながら～ごとし」で、「まるで～ようだ」という意味を作ります。

呼応の副詞と助動詞「ごとし」がセットで用いられている例文を紹介します。

次に助動詞「ごとし」の「比況」の用法について説明します。

助動詞「ごとし」の「比況」用法

『比況』とは、ある事柄を何かにたとえる言い方です。

例文で確認してみましょう。

助動詞「ごとし」の解説　まとめ

学んだことをまとめると次のようになります。