古文のク活用の形容詞についてまとめましたので紹介します。

まず、ク活用の形容詞の活用について説明します。

ク活用の形容詞の活用表

ク活用には本活用補助活用があります。

本活用の後には原則として助動詞が付きません。(例外として、断定の助動詞「なり」が本活用の後に付く場合があります。)

補助活用は主に後に助動詞を付けるために発達したと考えられますが、後に助動詞が続かない用法もあります。

補助活用はク活用の本活用の「く」にラ変動詞「あり」が付き、「くあり」が「かり」となったものです。したがって、補助活用はラ変型に活用します。(この活用をカリ活用と呼ぶことがあります。)

形容詞のク活用とシク活用の見分け方

形容詞の活用にはク活用シク活用の2種類があります。

形容詞は終止形を見出し語とします。形容詞の終止形はク活用の場合もシク活用の場合も「し」で終わるため、終止形でク活用かシク活用かを見分けることはできません。

ク活用とシク活用の見分け方は、形容詞の後に「なる」という語を付けて形容詞を連用形にして比較する方法が一般的です。「なる」の直前が「く」になる場合はク活用「なる」の直前が「しく」になる場合はシク活用と覚えましょう。

例えば、「よし」に「なる」を付けると「よくなる」となり、「なる」の直前が「く」なので「よし」はク活用と判断できます。

また、「よし」に「悲し」を付けると「悲しくなる」となり、「なる」の直前が「しく」なので「悲し」はシク活用と判断できます。

古文単語の学習について

古文の単語を理解する上で重要なことは、そのことばの語感を掴むことです。

我々日本人が、現代の基本的な生活上必要ないと思われる知識である古文を学ぶ理由のひとつが、この語感の獲得です。

古文のことばは現代のことばに通じているので、語感を学ぶことで言語感覚が豊かになります。

そして、ことばの感覚を磨くことがコミュニケーションの上達や文章表現力の向上など、基本的な国語力を伸ばす力になります。

国語力が伸びれば、社会生活を豊かに送れることが期待できます。

古文単語の習得は、暗記という無駄な作業をしているというネガティブな思考で取り組むのではなく、人間力向上につながるというようなポジティブな態度で臨めると良いです。頑張りましょう。

なお、以下のページで単語テストが実施可能です。何度も取り組んで脳に確実にインプットしましょう。

ク活用の形容詞 特徴

ク活用の形容詞には「なし」の付いた「~なし」というカタチのものが多いですが、実はこの「なし」は意味の異なる2種類が存在します。

ひとつは「いかにも…の状態だ」の意味を表わす接尾語の「なし」で、もうひとつは否定の意味を表わす補助形容詞の「無(な)し」です。

「~なし」という形容詞を覚える際は、接尾語の「なし」と補助形容詞の「無(な)し」のどちらの「なし」が使われているか理解しておくとよいでしょう。

ク活用の形容詞 1~10

ク活用の形容詞を紹介します。

よし(好し/良し/善し)〔ク活用〕

【現代語訳】①よい。すぐれている。②正しい。③美しい。④身分が高く教養がある。⑤ふさわしい。

【語感】絶対的に良いという評価を表わす。

【活用】〔未〕よからズ-〔用〕よく(よかり)テ-〔終〕よし。-〔体〕よき(よかる)トキ-〔已〕よけれドモ-〔命〕よかれ。

おぼつかなし〔ク活用〕

【現代語訳】①ぼんやりしている。はっきりしない②気がかりだ。心配だ。③疑わしい。④待ち遠しい。もどかしい。

【語感】ぼんやりしていてつかみどころがない感じを表わす。はっきりしないような状態から不安な気持ちや期待する気持ちも表わす。

【活用】〔未〕おぼつかなからズ-〔用〕おぼつかなく(おぼつかなかり)テ-〔終〕おぼつかなし。-〔体〕おぼつかなき(おぼつかなかる)トキ-〔已〕おぼつかなけれドモ-〔命〕おぼつかなかれ。

ありがたし(有り難し)〔ク活用〕

【現代語訳】①めったにない。珍しい。②(めったにないほど)すぐれている。立派だ。③生活しにくい。④むずかしい。困難だ。

【語感】動詞「有り」に形容詞「難し」が付いて生まれた語で、「存在することが難しい」という意味を表わす。

【活用】〔未〕ありがたからズ-〔用〕ありがたく(ありがたかり)テ-〔終〕ありがたし。-〔体〕ありがたき(ありがたかる)トキ-〔已〕ありがたけれドモ-〔命〕ありがたかれ。

めでたし〔ク活用〕

【現代語訳】①すばらしい。立派だ。②魅力的だ。心ひかれる。

【語感】動詞「愛づ(=賞賛する)」の連用形に形容詞「甚し(=はなはだしい)」が付いた「めでいたし」から生まれた語で、「大いに賞賛すべきようすだ」の意を表わす。

【活用】〔未〕めでたからズ-〔用〕めでたく(めでたかり)テ-〔終〕めでたし。-〔体〕めでたき(めでたかる)トキ-〔已〕めでたけれドモ-〔命〕めでたかれ。

うし(憂し)〔ク活用〕

【現代語訳】①つらい。いやだ。

【語感】物事が思いどおりにならず、憂鬱な気持ちを表わす。恋愛や人間関係にまつわるつらさのほかに、人が生きてゆく中で避けることのできない生の本質的なつらさやむなしさも表わす。

【活用】〔未〕うからズ-〔用〕うく(うかり)テ-〔終〕うし。-〔体〕うき(うかる)トキ-〔已〕うけれドモ-〔命〕うかれ。

おもしろし(面白し)〔ク活用〕

【現代語訳】①趣がある。すばらしい。②興味深い。

【語感】「面」が「白い」で、目の前がぱっと明るくなるようなすばらしい自然の光景や、心が楽しく晴れやかになるような芸能や遊びのさまを表わす。

【活用】〔未〕おもしろからズ-〔用〕おもしろく(おもしろかり)テ-〔終〕おもしろし。-〔体〕おもしろき(おもしろかる)トキ-〔已〕おもしろけれドモ-〔命〕おもしろかれ。

やむごとなし(止む事無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①捨ててはおけない。②並々ではない。格別だ。③高貴だ。尊い。

【語感】これでよしとしてそのままに済ますことができない、つまり「放っておけない」が本来の意味で、放っておけないような大切なもの、尊重すべきもののさまであることから「最上級」の意味が生じた。いろいろな「最上級」を言い表す。

【活用】〔未〕やむごとなからズ-〔用〕やむごとなく(やむごとなかり)テ-〔終〕やむごとなし。-〔体〕やむごとなき(やむごとなかる)トキ-〔已〕やむごとなけれドモ-〔命〕やむごとなかれ。

かしこし(畏し/恐し/賢し)〔ク活用〕

【現代語訳】①恐ろしい。こわい。②おそれ多い。もったいない。③すぐれている。立派だ。

【語感】古代の人が自然の威力や霊力に対して抱いたおそれ多いという気持ちを表わすのが本来の意味。後に、おそれ敬うべき並み外れた学識・才能などのあるさまを表わすような意味が生じた。

【活用】〔未〕かしこからズ-〔用〕かしこく(かしこかり)テ-〔終〕かしこし。-〔体〕かしこき(かしこかる)トキ-〔已〕かしこけれドモ-〔命〕かしこかれ。

はかなし(果無し/果敢無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①頼りない。あっけない。②無益だ。③ちょっとした。取るに足りない。

【語感】「はかる」に「値する量」が「無し」なので、頼りにできるものがなく、心細い気持ちを表わす。

【活用】〔未〕はかなからズ-〔用〕はかなく(はかなかり)テ-〔終〕はかなし。-〔体〕はかなき(はかなかる)トキ-〔已〕はかなけれドモ-〔命〕はかなかれ。

いはけなし(稚けなし)〔ク活用〕

【現代語訳】①幼い。あどけない。

【語感】「子どもっぽいことをする」の意味の動詞「稚く(いはく)」の連用形に、形容詞を作る接尾語「なし(=性質が著しいことを表わす)」が付いてできた語。

【活用】〔未〕いはけなからズ-〔用〕いはけなく(いはけなかり)テ-〔終〕いはけなし。-〔体〕いはけなき(いはけなかる)トキ-〔已〕いはけなけれドモ-〔命〕いはけなかれ。

ク活用の形容詞 11~20

ク活用の形容詞を紹介します。

かたはらいたし(傍ら痛し)〔ク活用〕

【現代語訳】①見苦しい。苦々しい。②気の毒だ。心苦しい。③恥ずかしい。④ばかばかしい。笑止千万だ。

【語感】その場に居続けることができないほど「見苦しい」ものの様子や「気の毒」「恥ずかしい」思いを表わす。鎌倉時代以降、「傍ら」が「片腹」と誤解され、笑うべきさまの意味が生じた。

【活用】〔未〕かたはらいたからズ-〔用〕かたはらいたく(かたはらいたかり)テ-〔終〕かたはらいたし。-〔体〕かたはらいたき(かたはらいたかる)トキ-〔已〕かたはらいたけれドモ-〔命〕かたはらいたかれ。

こころもとなし(心許なし)〔ク活用〕

【現代語訳】①待ち遠しい。じれったい。②気がかりだ。不安だ。心配だ。③はっきりしない。ぼんやりしている。

【語感】心がやたらに動きまわって落ち着かない感じや、気持ちばかりが先走り、じれったい気持ちや、気がかりで不安な気持ちを表わす。

【活用】〔未〕こころもとなからズ-〔用〕こころもとなく(こころもとなかり)テ-〔終〕こころもとなし。-〔体〕こころもとなき(こころもとなかる)トキ-〔已〕こころもとなけれドモ-〔命〕こころもとなかれ。

いたし(甚し/痛し)〔ク活用〕

【現代語訳】①程度がはなはだしい。②すばらしい。③(からだに)痛みを感じる。④(精神的に)苦痛である。

【語感】痛いと感じるほど程度がはなはだしいことを表わす。

【活用】〔未〕いたからズ-〔用〕いたく(いたかり)テ-〔終〕いたし。-〔体〕いたき(いたかる)トキ-〔已〕いたけれドモ-〔命〕いたかれ。

つれなし〔ク活用〕

【現代語訳】①平然としている。②冷淡だ。薄情だ。③何の変化もない。もとのままだ。

【語感】語源は「連れ無し」で周囲と連動した反応が無いことを表わす。感情が表に現れない、こちらの気持ちや働きかけに関心を示さない、予想に反して無変化であるという意味を持つ。

【活用】〔未〕つれなからズ-〔用〕つれなく(つれなかり)テ-〔終〕つれなし。-〔体〕つれなき(つれなかる)トキ-〔已〕つれなけれドモ-〔命〕つれなかれ。

あいなし〔ク活用〕

【現代語訳】①気にくわない。感心できない。②つまらない。おもしろくない。③(連用形の形で)むやみに。わけもなく。

【語感】理に合わないことや不調和などからくる受け入れがたい気持ち、つまり違和感を表わす。

【活用】〔未〕あいなからズ-〔用〕あいなく(あいなかり)テ-〔終〕あいなし。-〔体〕あいなき(あいなかる)トキ-〔已〕あいなけれドモ-〔命〕あいなかれ。

あぢきなし〔ク活用〕

【現代語訳】①どうにもならない。②つまらない。苦々しい。③正常でなく、乱れている。不当だ。

【語感】理不尽で人の力や自分の心ではどうしようもない状態を表わす。また、そのような状態に対する苦々しい心情も表わす。

【活用】〔未〕あぢきなからズ-〔用〕あぢきなく(あぢきなかり)テ-〔終〕あぢきなし。-〔体〕あぢきなき(あぢきなかる)トキ-〔已〕あぢきなけれドモ-〔命〕あぢきなかれ。

さがなし〔ク活用〕

【現代語訳】①性質がよくない。意地が悪い。②口が悪い。③いたずらだ。

【語感】名詞「性(さが)」は「性質」の意味を表わす。評価できる性質がない、つまり「性質が悪い」の意味を表わす。思い遣りや控え目の美徳を欠き、露骨で意地悪なさまを言う。

【活用】〔未〕さがなからズ-〔用〕さがなく(さがなかり)テ-〔終〕さがなし。-〔体〕さがなき(さがなかる)トキ-〔已〕さがなけれドモ-〔命〕さがなかれ。

いふかひなし(言ふ甲斐無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①言ってもしかたがない。どうしようもない。②取るに足りない。③ひどい。

【語感】「言うだけの価値がない」が原義で、言ったところでどうにもならないという意味や、価値が低くて話にならないという意味も生じた。

【活用】〔未〕いふかひなからズ-〔用〕いふかひなく(いふかひなかり)テ-〔終〕いふかひなし。-〔体〕いふかひなき(いふかひなかる)トキ-〔已〕いふかひなけれドモ-〔命〕いふかひなかれ。

よしなし(由無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①理由がない。②方法がない。③関係がない。④無益である。無駄である。⑤よくない。つまらない。

【語感】名詞「由(=物事の拠り所)」に形容詞「無し」がついて一語化した語であり、「由」の表わす「関係」「方法」「由緒」などがないこと、つまり「関係がない」「方法がない」「由緒がない」の意味を表わす。

【活用】〔未〕よしなからズ-〔用〕よしなく(よしなかり)テ-〔終〕よしなし。-〔体〕よしなき(よしなかる)トキ-〔已〕よしなけれドモ-〔命〕よしなかれ。

びんなし(便無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①都合が悪い。不都合だ。②困ったことだ。感心しない。③気の毒だ。かわいそうだ。

【語感】客観的に「都合が悪い」という意味が基本で、不都合を引き起こした者を「困ったことだ」ととがめる主観的な心情も表わす。

【活用】〔未〕びんなからズ-〔用〕びんなく(びんなかり)テ-〔終〕びんなし。-〔体〕びんなき(びんなかる)トキ-〔已〕びんなけれドモ-〔命〕びんなかれ。

ク活用の形容詞 21~30

ク活用の形容詞を紹介します。

かたじけなし(辱し/忝し)〔ク活用〕

【現代語訳】①恥ずかしい。②おそれ多い。もったいない。③ありがたい。もったいない。

【語感】上の立場の人が下の立場に降り立つことに対して、もったいないと恐縮する気持ちを表わす。

【活用】〔未〕かたじけなからズ-〔用〕かたじけなく(かたじけなかり)テ-〔終〕かたじけなし。-〔体〕かたじけなき(かたじけなかる)トキ-〔已〕かたじけなけれドモ-〔命〕かたじけなかれ。

こころにくし(心憎し)〔ク活用〕

【現代語訳】①心ひかれる。奥ゆかしい。②恐れるべきだ。③不審だ。

【語感】ついねたましく思うほど奥の深いものをほめる言葉である。相手の心の働きのすばらしさがうらやましく、自分には理解できないという心の働きも表わす。

【活用】〔未〕こころにくからズ-〔用〕こころにくく(こころにくかり)テ-〔終〕こころにくし。-〔体〕こころにくき(こころにくかる)トキ-〔已〕こころにくけれドモ-〔命〕こころにくかれ。

しどけなし〔ク活用〕

【現代語訳】①乱れている。だらしない。②無造作である。ゆったりしている。

【語感】服装・髪型・性格・態度・規律など、さまざまなものについてきちんと整っていない様子を表わす。整っていないことが「堅苦しくない」と好意的な意味を表わす場合もある。

【活用】〔未〕しどけなからズ-〔用〕しどけなく(しどけなかり)テ-〔終〕しどけなし。-〔体〕しどけなき(しどけなかる)トキ-〔已〕しどけなけれドモ-〔命〕しどけなかれ。

めやすし(目安し/目易し)〔ク活用〕

【現代語訳】①見苦しくない。感じがよい。

【語感】見て心が安らかでいられるものの様子を言い表す。

【活用】〔未〕めやすからズ-〔用〕めやすく(めやすかり)テ-〔終〕めやすし。-〔体〕めやすき(めやすかる)トキ-〔已〕めやすけれドモ-〔命〕めやすかれ。

こころやすし(心安し)〔ク活用〕

【現代語訳】①安心である。気楽である。②気軽である。③容易である。

【語感】心に心配事がないことや、気兼ねする必要がない状態を表わす。

【活用】〔未〕こころやすからズ-〔用〕こころやすく(こころやすかり)テ-〔終〕こころやすし。-〔体〕こころやすき(こころやすかる)トキ-〔已〕こころやすけれドモ-〔命〕こころやすかれ。

うしろめたし(後ろめたし)〔ク活用〕

【現代語訳】①心配だ。気がかりだ。

【語感】人を後ろから見守って、その人の将来を心配する気持ちを言い表す。

【活用】〔未〕うしろめたからズ-〔用〕うしろめたく(うしろめたかり)テ-〔終〕うしろめたし。-〔体〕うしろめたき(うしろめたかる)トキ-〔已〕うしろめたけれドモ-〔命〕うしろめたかれ。

まばゆし(目映ゆし/眩し)〔ク活用〕

【現代語訳】①まぶしい。②光り輝くほど美しい。③見ていられない。目をそむけたいほどだ。④恥ずかしい。

【語感】まともに見据えることのできないものの様子を表わす。いい意味で使われるときと否定的な意味で使われるときがある。

【活用】〔未〕まばゆからズ-〔用〕まばゆく(まばゆかり)テ-〔終〕まばゆし。-〔体〕まばゆき(まばゆかる)トキ-〔已〕まばゆけれドモ-〔命〕まばゆかれ。

つたなし(拙し)〔ク活用〕

【現代語訳】①下手だ。②劣っている。③下品だ。④不運だ。運が悪い。

【語感】「技量」のほか「天分」「品性」「運」が人よりも劣っていることを表わす。

【活用】〔未〕つたなからズ-〔用〕つたなく(つたなかり)テ-〔終〕つたなし。-〔体〕つたなき(つたなかる)トキ-〔已〕つたなけれドモ-〔命〕つたなかれ。

こちたし(言痛し/事痛し)〔ク活用〕

【現代語訳】①うるさい。わずらわしい。②おおげさである。はなはだしい。

【語感】物事が度を越えてうるさく感じられるほどの様子を表わす。

【活用】〔未〕こちたからズ-〔用〕こちたく(こちたかり)テ-〔終〕こちたし。-〔体〕こちたき(こちたかる)トキ-〔已〕こちたけれドモ-〔命〕こちたかれ。

さうなし(左右無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①どうとも決まらない。②ためらわない。言うまでもない。

【語感】あれこれ決まらない様子を表わすこともあれば、逆に右がよいか左がよいかと迷うことのない態度を表わすこともある。

【活用】〔未〕さうなからズ-〔用〕さうなく(さうなかり)テ-〔終〕さうなし。-〔体〕さうなき(さうなかる)トキ-〔已〕さうなけれドモ-〔命〕さうなかれ。

ク活用の形容詞 31~40

ク活用の形容詞を紹介します。

ところせし(所狭し)〔ク活用〕

【現代語訳】①場所が狭い。いっぱいだ。②窮屈だ。気づまりだ。③おおげさだ。仰々しい。

【語感】余地が少なくて自由に身動きしたり、面倒が多くて気軽にふるまったりできないことを言う。

【活用】〔未〕ところせからズ-〔用〕ところせく(ところせかり)テ-〔終〕ところせし。-〔体〕ところせき(ところせかる)トキ-〔已〕ところせけれドモ-〔命〕ところせかれ。

まさなし(正無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①よくない。みっともない。②思いがけない。予想外だ。

【語感】「まさ」は期待・予想されるさまの意味であり、それが「無(な)し」と打ち消されていて、期待や予想からはずれているものの様子を言い表す。

【活用】〔未〕まさなからズ-〔用〕まさなく(よかり)テ-〔終〕まさなし。-〔体〕まさなき(まさなかる)トキ-〔已〕まさなけれドモ-〔命〕まさなかれ。

ねたし(妬し)〔ク活用〕

【現代語訳】①しゃくだ。いまいましい。

【語感】動詞「妬む」の形容詞形で、瞬間的に感じるいまいましさを表わす。

【活用】〔未〕ねたからズ-〔用〕ねたく(よかり)テ-〔終〕ねたし。-〔体〕ねたき(ねたかる)トキ-〔已〕ねたけれドモ-〔命〕ねたかれ。

はしたなし(端なし)〔ク活用〕

【現代語訳】①中途半端だ。どっちつかずだ。不釣り合いだ。②不愛想だ。③みっともない。④はげしい。強い。

【語感】中途半端で落ち着かないさまや調和の欠けた突出した様子とその時の気持ちを表わす。

【活用】〔未〕はしたなからズ-〔用〕はしたなく(はしたなかり)テ-〔終〕はしたなし。-〔体〕はしたなき(はしたなかる)トキ-〔已〕はしたなけれドモ-〔命〕はしたなかれ。

わりなし〔ク活用〕

【現代語訳】①道理に合わない。無理だ。②並々ではない。はなはだしい。③耐えがたい。つらい。④しかたがない。やむを得ない。

【語感】「わり」は「ことわり(=道理)」の「わり」で、それが「無し」と打ち消されていて、道理にはずれていたり、常識を超えていたりするものの様子や気持ちを表わす。

【活用】〔未〕わりなからズ-〔用〕わりなく(わりなかり)テ-〔終〕わりなし。-〔体〕わりなき(わりなかる)トキ-〔已〕わりなけれドモ-〔命〕わりなかれ。

ずちなし(術無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①なすべき方法がない。どうしようもない。しかたがない。

【語感】「術」は「手段・方法」の意味で、それが「無し」と打ち消されていて、事に当たって何の手段も方法もないことを言う。

【活用】〔未〕ずちなからズ-〔用〕ずちなく(ずちなかり)テ-〔終〕ずちなし。-〔体〕ずちなき(ずちなかる)トキ-〔已〕ずちなけれドモ-〔命〕ずちなかれ。

あへなし(敢へ無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①あっけない。はりあいがない。②どうにもしようがない。お手上げだ。

【語感】「敢へ」は、もとは動詞の「敢ふ(=物事に対して十分持ちこたえられる)」であり、それが「無し」と打ち消され、もちこたえることができない感じや拍子抜けするほど簡単に終わったものの様子を表わす。

【活用】〔未〕あへなからズ-〔用〕あへなく(あへなかり)テ-〔終〕あへなし。-〔体〕あへなき(あへなかる)トキ-〔已〕あへなけれドモ-〔命〕あへなかれ。

くまなし(隈無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①暗い所がない。曇りや影がない。②行き届いている。ぬけめがない。③あけっぴろげである。

【語感】「隈(くま)」は「光の届かないくらい所」という意味で、それが「無し」で打ち消され、「すみずみまで明るい様子」を表わす。月について言っているのであれば、満月を表わす。

【活用】〔未〕くまなからズ-〔用〕くまなく(くまなかり)テ-〔終〕くまなし。-〔体〕くまなき(くまなかる)トキ-〔已〕くまなけれドモ-〔命〕くまなかれ。

こころづきなし(心付き無し)〔ク活用〕

【現代語訳】①心がひかれない。おもしろみがない。②気にくわない。気に入らない。

【語感】「付き」は「ぴったり」「しっくり」の意味で、心にしっくりとしないものの様子を表わす。

【活用】〔未〕こころづきなからズ-〔用〕こころづきなく(こころづきなかり)テ-〔終〕こころづきなし。-〔体〕こころづきなき(こころづきなかる)トキ-〔已〕こころづきなけれドモ-〔命〕こころづきなかれ。

ゆくりなし〔ク活用〕

【現代語訳】①突然だ。思いがけない。不意である。

【語感】物事が「ゆっくり」「ゆっくら」でなく、いきなり生じたことを表わす。

【活用】〔未〕ゆくりなからズ-〔用〕ゆくりなく(ゆくりなかり)テ-〔終〕ゆくりなし。-〔体〕ゆくりなき(ゆくりなかる)トキ-〔已〕ゆくりなけれドモ-〔命〕ゆくりなかれ。

ク活用の形容詞 41~45

ク活用の形容詞を紹介します。

むくつけし〔ク活用〕

【現代語訳】①不気味だ。気味がわるい。恐ろしい。②無骨である。

【語感】得たいの知れないものがむくむくとうごめいているような、ぞっとするほど気味の悪いものの様子を言う。

【活用】〔未〕むくつけからズ-〔用〕むくつけく(よかり)テ-〔終〕むくつけし。-〔体〕むくつけき(むくつけかる)トキ-〔已〕むくつけけれドモ-〔命〕むくつけかれ。

おほけなし〔ク活用〕

【現代語訳】①身分不相応である。身の程知らずだ、②おそれ多い。

【語感】身分や立場がつりあわないのに、下の者が上の者に対して、まるで対等であるかのように図々しく振る舞うことを言う。

【活用】〔未〕おほけなからズ-〔用〕おほけなく(おほけなかり)テ-〔終〕おほけなし。-〔体〕おほけなき(おほけなかる)トキ-〔已〕おほけなけれドモ-〔命〕おほけなかれ。

いぶせし〔ク活用〕

【現代語訳】①気が晴れない。②不快である。

【語感】心がもやもやして、すっきりしないことを言う。

【活用】〔未〕いぶせからズ-〔用〕いぶせく(いぶせかり)テ-〔終〕いぶせし。-〔体〕いぶせき(いぶせかる)トキ-〔已〕いぶせけれドモ-〔命〕いぶせかれ。

しるし(著し)〔ク活用〕

【現代語訳】①明白だ。はっきりしている。②(「~もしるく」の形で)予想どおりだ。

【語感】見てはっきりとわかるものの様子を言う。

【活用】〔未〕しるからズ-〔用〕しるく(しるかり)テ-〔終〕しるし。-〔体〕しるき(しるかる)トキ-〔已〕しるけれドモ-〔命〕しるかれ。

こよなし〔ク活用〕

【現代語訳】①はなはだしく違う。格段の差がある。②格段にすぐれている。③格段に劣っている。

【語感】ほかと比べたとき、各段の差があることを表わす。すぐれているときだけでなく、劣っているときにも用いられる。

【活用】〔未〕こよなからズ-〔用〕こよなく(こよなかり)テ-〔終〕こよなし。-〔体〕こよなき(こよなかる)トキ-〔已〕こよなけれドモ-〔命〕こよなかれ。

ク活用の形容詞の紹介は以上になります。

単語テスト(ク活用の形容詞)

単語テストは次のページから行えます。




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