係り結びの法則とは

「係り結びの法則」の「係り」とは係助詞のことで、「結び」とは文末に来る語のことです。

「係り結びの法則」とは、係助詞の働きによって文末に来る語の活用が決まるという法則のことです。

「係り (と) 結び の法則」と覚えましょう!

基本的に文末に活用語が来た場合、その活用は終止形になりますが、係助詞が文中にあると、文末が終止形でなくなることがあります。

つまり、文末の活用語が終止形になっていない場合は「係り結びの法則」によるものだといえます。

係助詞とは

助詞は、その代表的なものに「てにをは」があり、その機能は、他の語との関係を示したり、語に一定の意味を添えたりします。

係助詞は、助詞の種類のひとつであり、いろいろな意味を添えるとともに、文末の語の活用形を制約する働きがあります。

古文の係助詞の代表的なものには、「ぞ・なむ(なん)・や・か・こそ・は・も」があります。

それでは、古文の係助詞について詳しい解説をしたいと思います。

係助詞の種類と結びと意味

<係り結びの法則>

  • 係助詞「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」が文中にあると、結び(文末の語)の活用は連体形になります。
  • 係助詞「こそ」が文中にあると、結び(文末の語)の活用は已然形になります。
  • 係助詞「は」「も」が文中にあると、結び(文末の語)の活用は終止形になります。

係助詞の「は」「も」は結び(文末の語)の活用に終止形をとりますので、特に「係り結びの法則」を意識する必要はありません。

係助詞「ぞ」の『強意』用法

『強意』は、文中の事柄について、まさにそのものであると強める表現です。

訳に関しては、特に訳す必要はありません。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「ぞ」

⑴ ただ月を見て、西東(にしひむがし)をば知りける 〔土佐日記〕

(現代語訳:ただ月を見て、西か東かを知った)

係助詞「ぞ」によって、文末(結び)の助動詞「けり」が連体形「ける」になっています。

係助詞「なむ(なん)」の『強意』用法

『強意』は、文中の事柄について、まさにそのものであると強める表現です。

訳に関しては、特に訳す必要はありません。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「なむ」

⑴ その人かたちよりは心なむまさりたりける 〔伊勢物語〕

(現代語訳:その人は顔かたちよりは心がすぐれていたのだった)

係助詞「なむ」によって、文末(結び)の助動詞「けり」が連体形「ける」になっています。

係助詞「や」の『疑問』『反語』用法

『疑問』は、疑いの気持ちを表したり、相手に問いかける表現です。

『反語』は、話し手が自分の考えを強く言うために、主張と反対の内容を疑問の形で表現することです。

現代語訳は疑問の場合「~か」、反語の場合「~か、いや~ない」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「や」

⑴ 「ここにやいます」など問ふ 〔竹取物語〕

(現代語訳:「ここにいらっしゃるの」などと尋ねる)

⑵ 近き火などに逃ぐる人は「しばし」とやいふ 〔徒然草〕

(現代語訳:近所の火事などで逃げる人は「もうしばらく(待ってくれ)」などと言うだろうか、いや、言いはしない)

例文⑴の係助詞「や」は『疑問』の意味で、係助詞「や」によって文末(結び)の動詞「います」は連体形「います」になっています。(動詞「います」の終止形と連体形は同じカタチです。)

例文⑵の係助詞「や」は『反語』の意味で、係助詞「や」によって文末(結び)の動詞「いふ」は連体形「いふ」になっています。(動詞「いふ」の終止形と連体形は同じカタチです。)

『疑問』と『反語』の見分け方

『疑問』と『反語』のどちらの用法であるかについては、次のように文脈で判断しましょう。

「はい/いいえ」や「何らかの答え」を求めていると考えられる場合は『疑問』

疑問形を用いて強い否定の心情を表現していると考えられる場合は『反語』

係助詞「か」の『疑問』『反語』用法

『疑問』は、疑いの気持ちを表したり、相手に問いかける表現です。

『反語』は、話し手が自分の考えを強く言うために、主張と反対の内容を疑問の形で表現することです。

現代語訳は疑問の場合「~か」、反語の場合「~か、いや~ない」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「か」

⑴ いづれの山天に近 〔竹取物語〕

(現代語訳:どこの山が天に近い)

⑵ 生きとし生けるもの、いづれ歌を詠まざりける 〔古今和歌集〕

(現代語訳:あらゆる生きものは、どれが歌を詠まなかっただろうか、いや、詠まなかったものはない)

例文⑴の係助詞「か」は『疑問』の意味で、係助詞「か」によって文末(結び)の形容詞「近し」が連体形「近き」になっています。

例文⑵の係助詞「か」は『反語』の意味で、係助詞「か」によって文末(結び)の助動詞「けり」が連体形「ける」になっています。

係助詞「こそ」の『強意』用法

『強意』は、文中の事柄について、まさにそのものであると強める表現です。

訳に関しては、特に訳す必要はありません。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「こそ」

⑴ これは竜(たつ)のしわざにこそありけれ 〔竹取物語〕

(現代語訳:これ(=暴風雨)は竜のしわざであったのだ)

係助詞「こそ」によって、文末(結び)の助動詞「けり」が已然形「けれ」になっています。

係助詞「は」の『とりたて』用法

『とりたて』は、ある事物を(他のものと対比して)特に強く提示する表現です。

現代語訳はそのまま「~は」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「は」

⑴ たけきもののふの心をもなぐさむるなり 〔古今和歌集〕

(現代語訳:荒々しい武士の心をも慰めるの和歌である)

係助詞「は」によって、文末(結び)の助動詞「なり」が終止形「なり」になっています。

係助詞「も」の『並列・添加』用法

『並列・添加』は、二つ以上のことをあわせ述べたり、同じ類のものを一つ付け加えるような表現です。

現代語訳は「~も」「~もまた」となります。

例文で確認してみましょう。

例文 係助詞「も」

⑴ 潮(しほ)満ちぬ。風吹きぬべし 〔土佐日記〕

(現代語訳:潮が満ちた。風きっと吹くだろう)

係助詞「も」によって、文末(結び)の助動詞「べし」が終止形「べし」になっています。

結びの省略

「係り結びの法則」では、文中に係助詞があり、文末に「結びの語」がくるのが普通です。

「結びの省略」とは、係助詞で文が終わり、文末にあるはずの「結びの語」が省略されることです。

「結びの省略」が行われている場合は、文脈から何が省略されているのかを考えて補って訳す必要があります。

「結びの省略」で省略される語はほぼ決まっています。

<結びの省略>

  • 「にや」「にか」の場合は、「あらむ」「ありけむ」が省略されている場合が多いです。
  • 「にこそ」の場合は、「あれ」「あらめ」「ありけめ」が省略されている場合が多いです。
  • 「とぞ」「となむ」「とや」「とか」の場合は、「言ふ」「聞く」「思ふ」が省略されている場合が多いです。
  • 「とこそ」の場合は、「あらめ」が省略されている場合が多いです。

それでは、例文で確認してみましょう。

結びの省略 例文

⑴ いづれの御時にか、女御(にようご)・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに 〔源氏物語〕

(現代語訳:どの帝の御代(みよ)であっただろうか、女御や更衣が大勢お仕えしていらっしゃった中に)

「にか」の文末には、「ありけむ」が省略されています。

結びの消滅(消去・流れ)

「結びの消滅(消去・流れ)」は、結ぶはずの語が存在しない「結びの省略」と違って、結ぶはずの語があるのに、他の語(接続助詞)の影響で結びを作れなかった場合をいいます。

例文で確認してみましょう。

結びの消滅 例文

⑴ たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらむ 〔徒然草〕

(現代語訳:たとえ耳や鼻が切れてなくなっても、命だけはどうして助からないだろうか、いや助かる)

係助詞「こそ」によって、文末(結び)の動詞「切れ失す」が已然形「切れ失すれ」になるはずですが、終止形接続の接続助詞の「とも」の影響で「切れ失す」は終止形になっています。これが「結びの消滅」です。

「もぞ」「もこそ」の『懸念』用法

係助詞「も」に、係助詞の「ぞ」「こそ」が付いて「もぞ」「もこそ」という形になる場合があります。

この場合、『懸念』という特別な用法になります。

『懸念』は、悪い事態を予測して、そうなったら困るという気持ちを表します。

現代語訳は「~したら大変だ」「~したら困る」となります。

例文で確認してみましょう。

懸念用法 例文

⑴ 雨もぞ降る 〔徒然草〕

(現代語訳:雨が降ったら困る)

⑵ 烏などもこそ見つくれ 〔源氏物語〕

(現代語訳:烏などが見つけたら大変だ)

例文⑴は、係助詞「ぞ」によって文末(結び)の動詞「降る」が連体形「降る」になっています。

例文⑵は、係助詞「こそ」によって文末(結び)の動詞「見つく」が已然形「見つくれ」になっています。

係助詞「こそ」の『逆接』用法

「係り結びの法則」とは、係助詞の働きによって文末に来る語の活用が決まるという法則のことでしたが、係助詞「こそ」の影響で已然形になる結びの語で文が終わらず、さらに下に文が続くことがあります。

この場合、係助詞「こそ」と結びの已然形の語に挟まれた部分に『逆接』の意味が加わります。

『逆接』とは、ある条件に対して予期される結果の表れないことを示す表現です。

現代語訳は、「~けれども」「~が」となります。

例文で確認してみましょう。

「こそ」の『逆接』用法

⑴ 中垣こそあれ、一つ家(や)のやうなれば 〔土佐日記〕

(現代語訳:隔ての垣根はあるけれども、一軒家のようなので)

係助詞「こそ」によって、結びの動詞「あり」が已然形「あれ」になっています。

係助詞の文末用法(終助詞的用法)

先に説明したように、「結びの省略」が行われた場合、終助詞は文末に来ることになりますが、それとは別に係助詞を文末に用いる「文末用法(終助詞的用法)」というものがあります。

この場合、係助詞は『疑問』や『反語』、『強意』の意味を表します。

例文で確認してみましょう。

文末用法 例文

⑴ 桜は咲く (さくらは咲くの) 『疑問』

⑵ 何事 (何事) 『強意』

係助詞に関する説明は以上です。

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