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接続助詞とは
助詞は、その代表的なものに「てにをは」があり、その機能は、他の語との関係を示したり、語に一定の意味を添えたりします。
接続助詞は、助詞の種類のひとつであり、前の語句を後ろの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係を示す働きがあります。
古文の接続助詞の代表的なものには、「ば・と・とも・ど・ども・が・に・を・て・して・で・つつ・ながら・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」があります。
今回は、接続助詞の「て」「して」「で」について解説します。
接続助詞「て」 用法と接続
接続助詞の「て」は完了の助動詞「つ」の連用形「て」から転化したものと考えられています。
接続助詞の「て」は活用語(動詞や助動詞、形容詞、形容動詞)の連用形に接続します。
接続助詞「て」には、『単純接続』『順接確定条件』『逆接確定条件』の3つの用法があります。
接続助詞「て」の用法
接続助詞「て」の『単純接続』用法
単純接続とは、前の事柄にあとの事柄が順に続くことを示します。
現代語訳はそのまま「~て」となります。
例文で確認してみましょう。
⑴ 夏果てて秋の来るにはあらず 〔徒然草〕
(現代語訳:夏が終わって秋が来るのではない)
接続助詞「て」の『順接確定条件』用法
順接確定条件とは、自分の目の前にある事実を受けて、その事実から順接(予期される結果が現れることについて)の話を進める表現です。
『あるひとつの事実から、予想される(順当な)こたえが導き出されることについて述べたい場面』に使われる表現です。
文章の中では、接続助詞の「て」の直前に位置する内容が、事実に相当する部分になり、接続助詞「て」の直後に位置する内容が、予想される(順当な)結果を表す部分になります。
現代語訳は「~ので」となります。
例文で確認してみましょう。
⑴ 八日。さはることありて、なお同じところなり 〔土佐日記〕
(現代語訳:八日。さしつかえることがあるので、やはり同じ所にいる)
接続助詞「て」の『逆接確定条件』用法
逆接確定条件とは、自分の目の前にある事実を受けて、その事実から逆接(予期される結果が現れないことについて)の話を進める表現です。
『あるひとつの事実から、予想と反するこたえが導き出されることについて述べたい場面』に使われる表現です。
文章の中では、接続助詞の「て」の直前に位置する内容が、事実に相当する部分になり、接続助詞「て」の直後に位置する内容が、予想に反する結果を表す部分になります。
現代語訳は「~のに」「~ても」となります。
例文で確認してみましょう。
⑴ 勢ひ猛(まう)に、ののしりたるにつけて、いみじとは見えず 〔徒然草〕
(現代語訳:権勢が盛んで、評判を立てているにつけても、りっぱだとは思われない)
接続助詞「して」 用法と接続
接続助詞の「して」は活用語(動詞や助動詞、形容詞、形容動詞)の連用形に接続します。
接続助詞「して」には、『単純接続』の用法があります。
接続助詞「して」の『単純接続』用法
単純接続とは、前の事柄にあとの事柄が順に続くことを示します。
現代語訳は「~て」「~で」となります。
例文で確認してみましょう。
⑴ 玉くしげ見諸戸山(みもろとやま)を行きしかば面白くして古(いにしへ)思ほゆ 〔万葉集〕
(現代語訳:見諸戸山を歩いて行ったところ、景色がすばらしくて昔のことがしのばれる)
⑵ おほかたのふるまひ・心づかひも、愚(おろ)かにしてつつしめるのは得の本(もと)なり 〔徒然草〕
(現代語訳:一般のふるまいや心の持ち方も、愚鈍で用心深くしているのは成功のもとである)
接続助詞「で」 用法と接続
打消の助動詞「ず」に接続助詞の「て」が付いた「ずて」が「で」と変化してできた語だと考えられています。
接続助詞の「で」は活用語(動詞や助動詞、形容詞、形容動詞)の未然形に接続します。
接続助詞「で」には、『打消接続』の用法があります。
接続助詞「で」の『打消接続』用法
打消接続とは、前の語を打ち消してあとの語句に続けることを示します。
現代語訳は「~ないで」「~なくて」となります。
例文で確認してみましょう。
⑴ 狩りはねんごろにもせで、酒をのみ飲みつつ〔伊勢物語〕
(現代語訳:狩りは熱心にもしないで、酒ばかり飲んでは)
まとめ
今回学んだことをまとめます。
・接続助詞「て」の3つの用法は『単純接続』『順接確定条件』『逆接確定条件』である。
・接続助詞「て」は連用形に接続する。
・『単純接続』 現代語訳:~て
・『順接確定条件』 現代語訳:~ので
・『逆接確定条件』 現代語訳:~のに、~ても
・接続助詞「して」の用法は『単純接続』である。
・接続助詞「して」は連用形に接続する。
・『単純接続』 現代語訳:~て、~で
・接続助詞「で」の用法は『打消接続』である。
・接続助詞「で」は未然形に接続する。
・『打消接続』 現代語訳:~ないで、~なくて