古文の副詞について紹介します。
古文単語の学習について
古文のことばは現代のことばに通じているので、語感を学ぶことで言語感覚が豊かになります。
そして、ことばの感覚を磨くことがコミュニケーションの上達や文章表現力の向上など、基本的な国語力を伸ばす力になります。
国語力が伸びれば、社会生活を豊かに送れることが期待できます。
古文単語の習得は、暗記という無駄な作業をしているというネガティブな思考で取り組むのではなく、人間力向上につながるというようなポジティブな態度で臨めると良いです。頑張りましょう。
なお、以下のページで単語テストが実施可能です。何度も取り組んで脳に確実にインプットしましょう。
副詞とは
副詞には、状態の副詞と程度の副詞の2種類があります。
状態の副詞は、<どのように>という状態を示す語です。
程度の副詞は、<どのくらい>という程度を示す語です。
つまり、副詞とは、<どのように>という状態と、<どれくらい>という程度を表わす語をいいます。
古文の副詞 1~10
古文の副詞を紹介します。
いと
【現代語訳】①たいそう。非常に。②まったく。ほんとうに。
【解説】程度がはなはだしいことを表す。
あまた(数多)
【現代語訳】①たくさん。数多く。
【解説】数や量が「あまる」ほど多い、という意味を表す。
げに(実に)
【現代語訳】①なるほど。現実に。実際に。②ほんとうに。まったく。
【解説】以前からの知識や他人の言動に対して、「なるほど現実だ」「なるほどそのとおりだ」と納得したり、同調したりする気持ちを表します。
なほ(猶・尚)
【現代語訳】①やはり。②さらに。もっと。いっそう。
【解説】現代語では「さらに」「いっそう」という意味で用いられるが、古語では「やはり」という意味もある。
やがて(軈て)
【現代語訳】①そのまま。引き続いて。②すぐに。さっそく。
【解説】時間的にも状態的にも隔たりがなく、物事が引き続き起こるさまを表す。同じ状態が続く場合は「そのまま」、時間的に続いて起こる場合は「すぐに」の意になる。
やうやう(漸う)
【現代語訳】①だんだん。しだいに。
【解説】副詞の「漸(やうや)く」のウ音便。時間が進むにつれて物事が少しずつ変化していくさまを表す。
いかで(如何で)・いかでか(如何でか)
【現代語訳】①〔疑問〕どうして(~か)。②〔反語〕どうして(~か、いや~ない)。③〔願望〕どうにかして(~たい・~てほしい・~よう)。
【解説】疑問、反語と願望を表す。下に来る助動詞・助詞によって表す意味が分かれる。
おのづから(自ら)
【現代語訳】①自然と。ひとりでに。②偶然に。たまたま。③万一。ひっとして。
【解説】事が「自然に」起こることを表す意や、自然の成り行きで偶発的に事が起こる意、予想外のことが起こる意がある。
すなはち(即ち・則ち)
【現代語訳】①すぐに。たちまち。そのまま。
【解説】時間的に間をおかない「即座に」の意を表す。
とく(疾く)
【現代語訳】①早く。すぐに。②すでに。とっくに。
【解説】「(速度が)速い」「(時期が)早い」の意の形容詞「疾(と)し」の連用形「疾く」が副詞になった語。
古文の副詞 11~20
古文の副詞を紹介します。
いつしか(何時しか)
【現代語訳】①早く。②早くも。いつのまにか。
【解説】「早く」という意味を表し、これから起こるはずの事柄について「早く」と実現を待ち望む意味を表す。
なべて(並べて)
【現代語訳】①総じて。すべて。一般に。②並ひととおり。平凡。普通。③一面に。一帯に。
【解説】一列に並べるという意味の動詞「並(な)ぶ」の連用形に接続助詞「て」が付いた「なべて」から生まれた語で、同列に並べてが原義であり、そこから「総じて」という意味と「普通」の意味が生じた。
いとど
【現代語訳】①いっそう。ますます。②そのうえさらに。
【解説】「いと」を二つ重ねた「いといと」から生まれた語で、程度のはなはだしさが「いっそうはなはだしい」ものに進むことを表す。
かく(斯く)
【現代語訳】①このように。こんなに。こう。
【解説】眼前の事実や、前の会話・文脈を「このように」と指示する。
とかく
【現代語訳】①あれこれと。何やかやと。②ともすれば。ややもすれば。③なんにしても。いずれにせよ。
【解説】そのようにという意味の副詞「と」にこのようにという意味の副詞「かく」が付いたもので、「あれこれと」が基本の意味となる。
しか(然)
【現代語訳】①そう。そのように。
【解説】すでに述べたことを「そのように」と指示する。
さ(然)
【現代語訳】①そう。そのように。
【解説】すでに述べたことや、お互いが知っていることを「そのように」と指示する。
さばかり(然許り)
【現代語訳】①それほど。そのくらい。②たいへん。非常に。③それほどまでに。あんなにまで。
【解説】指示語の副詞「さ」に程度を示す副助詞「ばかり」が付いてできた語で、「その程度」が基本の意味となる。
なかなか(中中)
【現代語訳】①かえって。むしろ。②容易には。③かなり。ずいぶん。
【解説】中途半端で不十分な状態なら、かえってしない方がよいということを表す。
さすがに
【現代語訳】①そうはいってもやはり。
【解説】直前の内容を受けて、そこから予想されることと相反するような内容や心情を述べる言葉である。
古文の副詞 21~30
古文の副詞を紹介します。
かつ(且つ)
【現代語訳】①一方では。②すぐに。次々に。
【解説】二つのことが同時に並行して起こる(行われる)こと、連続して起こる(行われる)ことを表す。
など・などか
【現代語訳】①〔疑問〕どうして(~か)。②〔反語〕どうして(~か、いや~ない)。
【解説】「どうして」の意で疑問・反語を表す。
なでふ・なんでふ
【現代語訳】①〔疑問〕どうして(~か)。②〔反語〕どうして(~か、いや~ない)。
【解説】「なにといふ(何と言ふ)」が「なにてふ」→「なんでふ」→「なでふ」と変化してできた語。「どうして」の意で疑問・反語を表す。
ここら・そこら
【現代語訳】①たくさん。
【解説】数量が多いことを表す。
かたみに(互に)
【現代語訳】①互いに。交互に。
【解説】一つのことを二人の人が対になって行うことを言う。
わざと(態と)
【現代語訳】①わざわざ。故意に。②とりわけ。特に。格別に。③正式に。本格的に。
【解説】物事を特別に意識して行ったりするさまや、特別な物事の様子を言う。
うたて
【現代語訳】①ひどく。②異様に。怪しく。③いやなことに。不快に。
【解説】事態のひどさを嘆く気持ちを表す。
をりふし(折節)
【現代語訳】①ちょうどその時。②ときおり。たまに。
【解説】「をり」も「ふし」も「その時」という意味で、「をりふし」で「その時その時」という意味になり、そこから「その時もその時」、つまり「ちょうどその時」という意味が生じた。
かねて(予ねて)
【現代語訳】①前もって。前から。②〔日数を示す語の下に付いて〕~前から。
【解説】予想するという意味の動詞「予(か)ぬ」の連用形「かね」に接続助詞「て」が付いてできた語。
やをら
【現代語訳】①そっと。静かに。
【解説】物音を立てないように、静かに動作する様子を表す。
古文の副詞 31~37
古文の副詞を紹介します。
よもすがら(夜もすがら)
【現代語訳】①一晩中。夜通し。
【解説】「すがら」は「~の間・~の間中」という意味で、「夜もすがら」で「夜の間・夜の間中」という意味を表す。
はやく(早く)
【現代語訳】①以前。昔。②すでに。とっくに。③もともと。元来。
【解説】形容詞「早し」の連用形が副詞化した語。
つくづくと
【現代語訳】①しんみりと。しみじみと。②ぼんやり。
【解説】力が尽きて、心が内側を向いているさまを言い表す。
せめて
【現代語訳】①無理に。しいて。②非常に。きわめて。
【解説】動詞「迫(せ)む」の連用形に助詞「て」が付いて一語化した語で、ぐいぐいとつめ寄るものの様子や程度のすごさを言い表す。
さりとも(然りとも)
【現代語訳】①いくらなんでも。たとえそうであっても。
【解説】そうであるという意味の動詞「然(さ)り」の終止形に逆接の仮定条件を表す接続助詞「とも」が付いたもので、「たとえそうであるとしても」が原義である。
さて(然て)
【現代語訳】①そのままで。そういう状態で。
【解説】物事がそのままの状態にあることを言う。
かまへて(構へて)
【現代語訳】①ぜひとも。なんとかして。②必ず。きっと。
【解説】動詞「構ふ」に助詞の「て」が付いて副詞となった語で「心構えをして」というところから、十分に心を働かせて事に当たることを言うようになった。
呼応の副詞(陳述の副詞)
呼応の副詞(陳述の副詞)とは、下にくる特定の語とセットになって働く副詞のことをいいます。
呼応の副詞には、次のようなものがあります。
呼応の副詞(陳述の副詞)の解説
- ・副詞の「え」は下に「ず・じ・まじ・で・なし」を伴なって「~ことができない」という『打消』を表します。
- ・副詞の「おほかた・つゆ・さらに・たえて・よに」は下に「ず・じ・まじ・で・なし」を伴なって「まったく~ない」という『打消』を表します。
- ・副詞の「をさをさ」は下に「ず・じ・まじ・で・なし」を伴なって「ほとんど~ない」という『打消』を表します。
- ・副詞の「よも」は下に「ず・じ・まじ・で・なし」を伴なって「まさか~ないだろう」という『打消』を表します。
- ・副詞の「な」は下に「そ」を伴なって「~するな」という『禁止』を表します。
- ・副詞の「ゆめ・ゆめゆめ」は下に「な」を伴なって「決して~するな」という『禁止』を表します。
- ・副詞の「さだめて」は下に「む・べし」を伴なって「きっと~だろう」という『推量』を表します。
- ・副詞の「たとひ・よし」は下に「とも」を伴なって「たとえ~としても」という『仮定』を表します。
- ・副詞の「すべからく・まさに」は下に「べし」を伴なって「当然~すべきだ」という『当然』を表します。
- ・副詞の「あたかも・さながら」は下に「ごとし」を伴なって「まるで~ようだ」という『比況』を表します。
副詞の紹介は以上です。
単語テスト(副詞)
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