古文で使われる主な敬語を紹介します。
古文の敬語とは
敬語は、相手(身分の高い人など)を敬う気持ちを表わす語です。
敬語には、尊敬語と謙譲語、丁寧語の3種類があります。
・尊敬語は、動作主(=身分が高い人)に対し敬意を表す際に使われる語です。
・謙譲語は、動作の受け手(=身分が高い人)に対し敬意を表す際に使われる語です。
・丁寧語は、話し手(書き手)から聞き手(読み手)に対し敬意を表す際に使われる語です。
敬語に関して、詳しい説明は下記リンクにて解説しておりますのでご参考ください。
さて、まず始めに、古文の尊敬語を紹介します。
古文の尊敬語
・尊敬語は、動作主(=身分が高い人)に対し敬意を表す際に使われる語です。
のたまふ(宣ふ)〔ハ行四段〕
【現代語訳】①〔「言う」の尊敬語〕おっしゃる。
【解説】天皇などが神聖な言葉を口にする意の「告(の)る」に、尊敬の補助動詞「たまふ」が付いた「のりたまふ」が一語化した語。
【活用】〔未〕のたまはズ-〔用〕のたまひテ-〔終〕のたまふ。-〔体〕のたまふトキ-〔已〕のたまへドモ-〔命〕のたまへ。
のたまはす(宣はす)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「言う」の尊敬語〕おっしゃる。
【解説】動詞「宣(のたま)ふ」の未然形「のたまは」に尊敬の助動詞「す」が付いて一語化した語。「宣(のたま)ふ」より高い敬意を表し、天皇・上皇・皇后などが主語となる時に用いられる。
【活用】〔未〕のたまはせズ-〔用〕のたまはせテ-〔終〕のたまはす。-〔体〕のたまはするトキ-〔已〕のたまはすれモ-〔命〕のたまはせよ。
おほす(仰す)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①命じる。②〔「言う」の尊敬語〕おっしゃる。
【解説】動詞「負(お)ふ」の未然形「おは」に、使役の助動詞「す」が付いた「おはす」が転じた語。本来は「命じる」の意を表し、「おほせらる」「おほせたまふ」の形で「言う」の尊敬語として使われたが、後に「おほす」単独でも「言う」の尊敬語として使われるようになった。
【活用】〔未〕おほせズ-〔用〕おほせテ-〔終〕おほす。-〔体〕おほするトキ-〔已〕おほすれドモ-〔命〕おほせよ。
おほせらる(仰せらる)〔ラ行下二段〕
【現代語訳】①〔「言う」の尊敬語〕おっしゃる。②〔「命じる」の尊敬語〕お命じになる。
【解説】動詞「仰(おほ)す」の未然形「おほせ」に尊敬の助動詞「らる」が付いて一語化した語。
【活用】〔未〕おほせられズ-〔用〕おほせられテ-〔終〕おほせらる。-〔体〕おほせらるるトキ-〔已〕おほせらるれドモ-〔命〕おほせられよ。
きこしめす(聞こし召す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「聞く」の尊敬語〕お聞きになる。②〔「食ふ」「飲む」の尊敬語〕召し上がる。
【解説】「聞く」の奈良時代の尊敬語「聞こす」の連用形「きこし」に尊敬の補助動詞「召す」が付いて生まれた語。高い敬意を表し、多く天皇・皇后などが主語となる場合に用いられる。
【活用】〔未〕きこしめさズ-〔用〕きこしめしテ-〔終〕きこしめす。-〔体〕きこしめすトキ-〔已〕きこしめせドモ-〔命〕きこしめせよ。
ごらんず(御覧ず)〔サ行変格〕
【現代語訳】①〔「見る」の尊敬語〕ご覧になる。
【解説】「見る」の尊敬語で「ご覧になる」の意を表す。
【活用】〔未〕ごらんぜズ-〔用〕ごらんじテ-〔終〕ごらんず。-〔体〕ごらんずるトキ-〔已〕ごらんずれドモ-〔命〕ごらんぜよ。
ごらんぜさす(御覧ぜさす)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「見さす」の尊敬表現〕ご覧に入れる。お目にかける。
【解説】動詞「ご覧ず」の未然形「ごらんぜ」に使役の助動詞「さす」が付いて一語化した語。相手が「ご覧」になるようにしむける、という言い方。
【活用】〔未〕ごらんぜさせズ-〔用〕ごらんぜさせテ-〔終〕ごらんぜさす。-〔体〕ごらんぜさするトキ-〔已〕ごらんぜさすれドモ-〔命〕ごらんぜさせよ。
ごらんぜらる(御覧ぜらる)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「らる」が受身の場合〕ご覧いただく。お目にかける。②〔「らる」が尊敬の場合〕ご覧になられる。
【解説】動詞「ご覧ず」の未然形「ごらんぜ」に受身・尊敬の助動詞「らる」が付いて一語化した語。
【活用】〔未〕ごらんぜられズ-〔用〕ごらんぜられテ-〔終〕ごらんぜらる。-〔体〕ごらんぜらるるトキ-〔已〕ごらんぜらるれドモ-〔命〕ごらんぜられよ。
おはす(御座す)〔サ行変格〕
【現代語訳】①〔「あり」「をり」の尊敬語〕いらっしゃる。おられる。②〔「行く」「来」の尊敬語〕いらっしゃる。おでかけになる。おいでになる。
【解説】存在や行き来を表す敬語。
【活用】〔未〕おはせズ-〔用〕おはしテ-〔終〕おはす。-〔体〕おはするトキ-〔已〕おはすれドモ-〔命〕おはせよ。
おはします(御座します)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「あり」「をり」の尊敬語〕いらっしゃる。おられる。②〔「行く」「来」の尊敬語〕いらっしゃる。おでかけになる。おいでになる。
【解説】存在や行き来を表す敬語で、「おはす」よりも高い敬意を表し、天皇を初めとする皇族が主語となる。
【活用】〔未〕おはしまさズ-〔用〕おはしましテ-〔終〕おはします。-〔体〕おはしますトキ-〔已〕おはしませドモ-〔命〕おはしませ。
おぼす(思す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「思ふ」の尊敬語〕お思いになる。
【解説】動詞「思ふ」の未然形「おもは」に奈良時代の尊敬の助動詞「す」が付いた「思はす」が一語化して転じた語。
【活用】〔未〕おぼさズ-〔用〕おぼしテ-〔終〕おぼす。-〔体〕おぼすトキ-〔已〕おぼせドモ-〔命〕おぼせよ。
おぼしめす(思し召す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「思ふ」の尊敬語〕お思いになる。
【解説】動詞「おぼす」の連用形「おぼし」に補助動詞「召す」が付いたもの。「おぼす」より高い敬意を表し、多くは天皇を初めとする皇族が主語の場合に用いられる。
【活用】〔未〕おぼしめさズ-〔用〕おぼしめしテ-〔終〕おぼしめす。-〔体〕おぼしめすトキ-〔已〕おぼしめせドモ-〔命〕おぼしめせよ。
たまふ(給ふ・賜ふ)〔ハ行四段〕
【現代語訳】①〔「与ふ」の尊敬語〕お与えになる。くださる。
【解説】四段活用の尊敬の「たまふ」は身分の上位者が会社に「(物を)お与えになる」という意味を表す。(下二段活用の謙譲の「たまふ」と間違えないように留意が必要。)
【活用】〔未〕たまはズ-〔用〕たまひテ-〔終〕たまふ。-〔体〕たまふトキ-〔已〕たまへドモ-〔命〕たまへ。
たまはす(給ふ・賜ふ)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「与ふ」の尊敬語〕お与えになる。くださる。
【解説】尊敬語「たまふ」の未然形「たまは」に尊敬の助動詞「す」が付いて一語化した語。「たまふ」よりも高い敬意を表す。
【活用】〔未〕たまはせズ-〔用〕たまはせテ-〔終〕たまはす。-〔体〕たまはするトキ-〔已〕たまはすれドモ-〔命〕たまはせよ。
たてまつる(奉る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「食ふ・飲む」の尊敬語〕召し上がる。②〔「着る」の尊敬語〕お召しになる。③〔「乗る」の尊敬語〕お乗りになる。
【解説】本来は高貴な方に「物を献上する」というように「与ふ」の謙譲語であったが、食べ物・着物・乗り物を献上する目下の者の奉仕を、高貴な方が受けているところから、高貴な人物の動作に対する尊敬語としての用法が生じた。
【活用】〔未〕たてまつらズ-〔用〕たてまつりテ-〔終〕たてまつる。-〔体〕たてまつるトキ-〔已〕たてまつれドモ-〔命〕たてまつれ。
めす(召す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「呼ぶ」の尊敬語〕お呼びになる。②〔「招く」の尊敬語〕お招きになる。③〔「取り寄す」の尊敬語〕お取り寄せになる。④〔「食ふ・飲む」の尊敬語〕召し上がる。⑤〔「着る」の尊敬語〕お召しになる。⑥〔「乗る」の尊敬語〕お乗りになる。
【解説】さまざまな意を表す多義語で、いずれの場合も尊敬語となる。
【活用】〔未〕めさズ-〔用〕めしテ-〔終〕めす。-〔体〕めすトキ-〔已〕めせドモ-〔命〕めせ。
まゐる(参る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「食ふ」「飲む」の尊敬語〕召し上がる。
【解説】謙譲と尊敬の二つに用法を持つ語で、「飲食する」の意味であれば尊敬の用法である。
【活用】〔未〕まゐらズ-〔用〕まゐりテ-〔終〕まゐる。-〔体〕まゐるトキ-〔已〕まゐれドモ-〔命〕まゐれ。
つかはす(遣はす)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「遣(や)る」の尊敬語〕おやりになる。②〔「与ふ」の尊敬語〕お与えになる。③〔「贈る」の尊敬語〕お贈りになる。④やる。行かせる。贈る。
【解説】尊敬の用法と敬意を含まないで「やる」の意を表す一般動詞の用法があり、身分の高い人が主語になってる場合に尊敬の用法となる。
【活用】〔未〕つかはさズ-〔用〕つかはしテ-〔終〕つかはす。-〔体〕つかはすトキ-〔已〕つかはせドモ-〔命〕つかはせ。
あそばす(遊ばす)〔サ行四段〕
【現代語訳】①(音楽の)演奏をなさる。②(歌を)お詠みになる。
【解説】動詞「あそぶ」の未然形「あそば」に尊敬の助動詞「す」が付いて一語化した語。「詩歌管絃の遊びをなさる」が基本の意味。
【活用】〔未〕あそばさズ-〔用〕あそばしテ-〔終〕あそばす。-〔体〕あそばすトキ-〔已〕あそばせドモ-〔命〕あそばせ。
おほとのごもる(大殿籠る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「寝(ぬ)」「寝(い)ぬ」の尊敬語〕おやすみになる。
【解説】大殿は「御寝所(ごしんじょ)」の意で、身分の高い人がその中にお入りになることから、「おやすみになる」の意を表す。
【活用】〔未〕おほとのごもらズ-〔用〕おほとのごもりテ-〔終〕おほとのごもる。-〔体〕おほとのごもるトキ-〔已〕おほとのごもれドモ-〔命〕おほとのごもれ。
しろしめす(知ろし召す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「知る」の尊敬語〕ご存じである。知っていらっしゃる。②〔「領(し)る」の尊敬語〕お治めになる。領有なさる。
【解説】「しる」の奈良時代の尊敬語「しらす」の連用形に、尊敬の補助動詞「召す」の付いた「しらしめす」が変化した語。最高敬語であり、天皇を初めとする皇族が主語の場合に用いられる。
【活用】〔未〕しろしめさズ-〔用〕しろしめしテ-〔終〕しろしめす。-〔体〕しろしめすトキ-〔已〕しろしめせドモ-〔命〕しろしめせ。
次に、古文の謙譲語を紹介します。
古文の謙譲語
・謙譲語は、動作の受け手(=身分が高い人)に対し敬意を表す際に使われる語です。
まうす(申す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔「言ふ」の謙譲語〕申し上げる。②〔「願ふ」の謙譲語〕お願い申し上げる。
【解説】「言ふ」の謙譲語で、鎌倉時代以降広く用いられるようになった。
【活用】〔未〕まうさズ-〔用〕まうしテ-〔終〕まうす。-〔体〕まうすトキ-〔已〕まうせドモ-〔命〕まうせ。
きこゆ(聞こゆ)〔ヤ行下二段〕
【現代語訳】①〔「言ふ」の謙譲語〕申し上げる。(手紙などを)差し上げる。②聞こえる。
【解説】謙譲の用法と敬意を含まないで「聞こえる」の意を表す一般動詞の用法がある。謙譲の用法は、高貴な方のお耳に自然に入るようにするという意味で使われる。
【活用】〔未〕きこえズ-〔用〕きこえテ-〔終〕きこゆ。-〔体〕きこゆるトキ-〔已〕きこゆれドモ-〔命〕きこえよ。
きこえさす(聞こえさす)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「言ふ」の謙譲語〕申し上げる。(手紙などを)差し上げる。
【解説】謙譲の動詞「聞こゆ」の未然形「きこえ」に使役の助動詞「さす」が付いて一語化したもの。「聞こゆ」より謙譲の意が強い。
【活用】〔未〕きこえさせズ-〔用〕きこえさせテ-〔終〕きこえさす。-〔体〕きこえさするトキ-〔已〕きこえさすれドモ-〔命〕きこえさせよ。
たまはる(給はる・賜はる)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「受く」「もらふ」の謙譲語〕いただく。頂戴する。
【解説】下位者が上位者から「(物を)いただく」の意味を表す。
【活用】〔未〕たまはらズ-〔用〕たはまりテ-〔終〕たまはる。-〔体〕たまはるトキ-〔已〕たまはれドモ-〔命〕たまはれ。
うけたまはる(承る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「受く」の謙譲語〕お受けする。いただく。②〔「聞く」の謙譲語〕うかがう。お聞きする。③〔「引き受ける」の謙譲語〕お引き受け申しあげる。
【解説】動詞「受く」の連用形「うけ」に、謙譲の補助動詞「たまはる」が付いてできた語。高貴な方の言葉や命令を「お受けする」という意味を表す。
【活用】〔未〕うけたまはらズ-〔用〕うけたまはりテ-〔終〕うけたまはる。-〔体〕うけたまはるトキ-〔已〕うけたまはれドモ-〔命〕うけたまはれ。
たてまつる(奉る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「与ふ」の謙譲語〕差し上げる。
【解説】高貴な方に「物を献上する」という意味の「与ふ」の謙譲語。謙譲語である一方で、食べ物・着物・乗り物を献上する目下の者の奉仕を、高貴な方が受けているところから、高貴な人物の動作に対する尊敬語としての用法も生じたため、謙譲語と尊敬語のどちらで使われているかの見分けが必要となる。
【活用】〔未〕たてまつらズ-〔用〕たてまつりテ-〔終〕たてまつる。-〔体〕たてまつるトキ-〔已〕たてまつれドモ-〔命〕たてまつれ。
はべり(侍り)〔ラ行変格〕
【現代語訳】①〔「あり」「をり」の謙譲語〕(高貴な方のおそばに)お仕えする。
【解説】「這(は)ひあり」が変化した語と言われる。謙譲語と丁寧語の用法があり、謙譲語の場合は高貴な方のおそばに「お仕えする」の意になる。
【活用】〔未〕はべらズ-〔用〕はべりテ-〔終〕はべり。-〔体〕はべるトキ-〔已〕はべれドモ-〔命〕はべれ。
さぶらふ(候ふ・侍ふ)〔ハ行四段〕
【現代語訳】①〔「あり」「をり」の謙譲語〕(高貴な方のおそばに)お仕えする。①〔「行く」「来」の謙譲語〕参上する。うかがう。
【解説】謙譲語と丁寧語の用法があり、謙譲語の場合は高貴な方のおそばに「お仕えする」の意になる。「侍(はべ)り」よりも高い敬意を表す。
【活用】〔未〕さぶらはズ-〔用〕さぶらひテ-〔終〕さぶらふ。-〔体〕さぶらふトキ-〔已〕さぶらへドモ-〔命〕さぶらへ。
まうづ(参づ・詣づ)〔ダ行下二段〕
【現代語訳】①〔「行く」「来」の謙譲語〕参上する。うかがう。②〔神社に「行く」の謙譲語〕参詣する。お参りする。
【解説】「(高貴な方の所へ)行く」という意味を表す。
【活用】〔未〕まうでズ-〔用〕まうでテ-〔終〕まうづ。-〔体〕まうづるトキ-〔已〕まうづれドモ-〔命〕まうでよ。
まゐる(参る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「行く」「来」の謙譲語〕参上する。うかがう。②〔神社に「行く」の謙譲語〕参詣する。お参りする。③〔「与ふ」の謙譲語〕差し上げる。献上する。
【解説】謙譲と尊敬の二つに用法を持つ語で、「(高貴な方の所へ)行く」の意味であれば謙譲の用法である。
【活用】〔未〕まゐらズ-〔用〕まゐりテ-〔終〕まゐる。-〔体〕まゐるトキ-〔已〕まゐれドモ-〔命〕まゐれ。
まゐらす(参らす)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔「与ふ」の謙譲語〕差し上げる。献上する。
【解説】謙譲語「まゐる」の未然形「まゐら」に、使役の助動詞「す」が付いてできた語。「まゐる」の持つ意味の一つである「差し上げる」の意を表す。
【活用】〔未〕まゐらせズ-〔用〕まゐらせテ-〔終〕まゐらす。-〔体〕まゐらするトキ-〔已〕まゐらすれドモ-〔命〕まゐらせよ。
まかる(罷る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「出(い)づ」の謙譲語〕退出する。
【解説】「(高貴な方の所から)退出する」という意味を表す。
【活用】〔未〕まからズ-〔用〕まかりテ-〔終〕まかる。-〔体〕まかるトキ-〔已〕まかれドモ-〔命〕まかれ。
まかづ(罷づ)〔ダ行下二段〕
【現代語訳】①〔「出(い)づ」の謙譲語〕退出する。
【解説】謙譲語「まかる」の連用形「まかり」に、動詞「出(い)づ」が付いた「まかりいづ」からできた語。「(高貴な方の所から)退出する」という意味を表す。
【活用】〔未〕まかでズ-〔用〕まかでテ-〔終〕まかづ。-〔体〕まかづるトキ-〔已〕まかづれドモ-〔命〕まかでよ。
つかうまつる(仕う奉る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔「仕ふ」の謙譲語〕お仕え申し上げる。
【解説】「(高貴な方の所に)お仕え申し上げる」という意味を表す。
【活用】〔未〕つかうまつらズ-〔用〕つかうまつりテ-〔終〕つかうまつる。-〔体〕つかうまつるトキ-〔已〕つかうまつれドモ-〔命〕つかうまつれ。
そうす(奏す)〔サ行変格〕
【現代語訳】①〔「言ふ」の謙譲語〕申し上げる。
【解説】絶対敬語であり、天皇・上皇に申し上げる場合にのみ用いられる。
【活用】〔未〕そうせズ-〔用〕そうしテ-〔終〕そうす。-〔体〕そうするトキ-〔已〕そうすれドモ-〔命〕そうせよ。
けいす(啓す)〔サ行変格〕
【現代語訳】①〔「言ふ」の謙譲語〕申し上げる。
【解説】絶対敬語であり、天皇・上皇以外の皇族、つまり皇后や皇太子に申し上げる場合にのみ用いられる。
【活用】〔未〕けいせズ-〔用〕けいしテ-〔終〕けいす。-〔体〕けいするトキ-〔已〕けいすれドモ-〔命〕けいせよ。
尊敬の補助動詞
尊敬の補助動詞とは、動詞に付けて『尊敬』の意味を与える役割を持つ動詞のことを言います。
本動詞が「動作の意味」を持つのに対し、本動詞の後に続けて使う尊敬の補助動詞はその本動詞の動作に対し『尊敬』の意味を与えます。
尊敬の補助動詞を紹介します。
おはす(御座す)〔サ行変格〕
【現代語訳】①〔尊敬の補助動詞〕…ていらっしゃる。
【解説】活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の連用形、あるいは連用形に助詞化「て」の接続したものに付いて、尊敬の意を表す。
【活用】〔未〕おはせズ-〔用〕おはしテ-〔終〕おはす。-〔体〕おはするトキ-〔已〕おはすれドモ-〔命〕おはせよ。
おはします(御座します)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔尊敬の補助動詞〕…ていらっしゃる。
【解説】活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の連用形、あるいは連用形に助詞化「て」の接続したものに付いて、尊敬の意を表す。
【活用】〔未〕おはしまさズ-〔用〕おはしましテ-〔終〕おはします。-〔体〕おはしますトキ-〔已〕おはしませドモ-〔命〕おはしませ。
たまふ(給ふ・賜ふ)〔ハ行四段〕
【現代語訳】①〔尊敬の補助動詞〕お…になる。…なさる。…てくださる。
【解説】動詞の連用形の下について、尊敬の気持ちを表す。(下二段活用の謙譲の補助動詞「たまふ」と間違えないように留意が必要。)
【活用】〔未〕たまはズ-〔用〕たまひテ-〔終〕たまふ。-〔体〕たまふトキ-〔已〕たまへドモ-〔命〕たまへ。
謙譲の補助動詞
謙譲の補助動詞とは、動詞に付けて『謙譲』の意味を与える役割を持つ動詞のことを言います。
本動詞が「動作の意味」を持つのに対し、本動詞の後に続けて使う謙譲の補助動詞はその本動詞の動作に対し『謙譲』の意味を与えます。
謙譲の補助動詞を紹介します。
まうす(申す)〔サ行四段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕お…申し上げる。お…する。
【解説】動詞の連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。
【活用】〔未〕まうさズ-〔用〕まうしテ-〔終〕まうす。-〔体〕まうすトキ-〔已〕まうせドモ-〔命〕まうせ。
きこゆ(聞こゆ)〔ヤ行下二段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕お…申し上げる。お…する。
【解説】動詞または助動詞の連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。
【活用】〔未〕きこえズ-〔用〕きこえテ-〔終〕きこゆ。-〔体〕きこゆるトキ-〔已〕きこゆれドモ-〔命〕きこえよ。
たまふ(給ふ・賜ふ)〔ハ行下二段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕…ております。…させていただく。
【解説】自分または自分に近い関係のある人の動作を表す「見る」「聞く」「思ふ」などの連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。(四段活用の尊敬の補助動詞「たまふ」と間違えないように留意が必要。)。
【活用】〔未〕たまへズ-〔用〕たまへテ-〔終〕たまふ。-〔体〕たまふるトキ-〔已〕たまふれドモ-〔命〕〇
たてまつる(奉る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕お…申し上げる。お…する。
【解説】動詞の連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。
【活用】〔未〕たてまつらズ-〔用〕たてまつりテ-〔終〕たてまつる。-〔体〕たてまつるトキ-〔已〕たてまつれドモ-〔命〕たてまつれ。
まゐらす(参らす)〔サ行下二段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕お…申し上げる。お…する。
【解説】動詞または助動詞の連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。
【活用】〔未〕まゐらせズ-〔用〕まゐらせテ-〔終〕まゐらす。-〔体〕まゐらするトキ-〔已〕まゐらすれドモ-〔命〕まゐらせよ。
つかうまつる(仕う奉る)〔ラ行四段〕
【現代語訳】①〔謙譲の補助動詞〕お…申し上げる。お…する。
【解説】動詞の連用形の下に付いて、謙譲の意を表す。
【活用】〔未〕つかうまつらズ-〔用〕つかうまつりテ-〔終〕つかうまつる。-〔体〕つかうまつるトキ-〔已〕つかうまつれドモ-〔命〕つかうまつれ。
丁寧の補助動詞
丁寧の補助動詞とは、動詞に付けて『丁寧』の意味を与える役割を持つ動詞のことを言います。
本動詞が「動作の意味」を持つのに対し、本動詞の後に続けて使う丁寧の補助動詞はその本動詞の動作に対し『丁寧』の意味を与えます。
丁寧の補助動詞を紹介します。
はべり(侍り)〔ラ行変格〕
【現代語訳】①〔丁寧の補助動詞〕…です。…ます。
【解説】活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の連用形の下に付いて、丁寧の意を表す。
【活用】〔未〕はべらズ-〔用〕はべりテ-〔終〕はべり。-〔体〕はべるトキ-〔已〕はべれドモ-〔命〕はべれ。
さぶらふ(候ふ・侍ふ)〔ハ行四段〕
【現代語訳】①①〔丁寧の補助動詞〕…です。…ます。
【解説】動詞または助動詞の連用形の下に付いて、丁寧の意を表す。
【活用】〔未〕さぶらはズ-〔用〕さぶらひテ-〔終〕さぶらふ。-〔体〕さぶらふトキ-〔已〕さぶらへドモ-〔命〕さぶらへ。